再会
2006/07/17公開
約束の時間から三十分。
ノルヴェルトが姿を現した時、ダンは苦笑して呟いた。
「……だろうな」
来ないという選択肢もあったはずだ。
それでも、あの男は来る。
そう思っていた。
ノルヴェルトは、自分の判断の甘さを内心で責めながら、それでもトミーと会うためにここへ来た。
約束の時間に現れなかったのは、相手の出方を見るためだった。
だが結局、三十分程度で踏み出してしまった。
どんな状況でも油断するな。
そう言い聞かせても、心は少しも静まらなかった。
待ち合わせた競売所前から移動する前に、ダンがまずノルヴェルトに対して断った。
ノルヴェルトを害するつもりはない。
だが、こちらが武装を解く気もない――と。
ノルヴェルトは『自分も同じだ』と宣言する。
夜の闇の中、鋭く光る目。
その眼差しに、ダンは小さく苦笑して承知の意を返した。
そして、ダンは急ぐわけでもなく、ゆっくりとした歩調で歩き始めた。
夜も遅い。
通りから離れるにつれ、人の気配は薄れていった。
ノルヴェルトは一定の距離を保ち、ダンの背を追う。
ダンは一度も振り返らない。
案内するような言葉もない。
それは、必要以上に近づくつもりはないという意思表示のようだった。
敵でも味方でもない。
今の自分達は、ただの他人なのだと。
冒険者の居住区に入ると、点々と並んだ明かりがぼんやりと通路を照らしている。
しんとした静寂。
武装した二人の足音が、やたらと大きく響く。
二人はお互いに何も口にはしなかった。
そんな調子のまま通路を曲がったり階段を上ったり下りたりを繰り返す。
何処も似たような通路、似たような扉。
「正直な話、無駄に回り道してる」
ノルヴェルトがそのことに気付いた頃、前を歩く男が苦笑混じりに言った。
「念のためだ、悪いな」
そう続けるダンの背中を凝視して、ノルヴェルトは無言。
振り返りもしない。
取り繕う様子もない。
ただ当然のことのように告げる。
再会を待ち望んだ相手が、すぐそこにいるというのに。
なぜか今、考えているのは目の前の男のことだった。
この、呆れるほど正直で、物怖じしない青年の態度は、ノルヴェルトを困惑させた。
疑え。
警戒しろ。
そう己に言い聞かせ続けているというのに、目の前の男の振る舞いは、どうしても疑念だけでは片付けられなかった。
何一つ隠そうとせず、当然のように振舞う姿。
その堂々とした態度が、妙な安心感を与えてくる。
このダンという青年。
とんでもなく駆け引きが上手いのか、素でこういう人柄なのか。
……危険だ。
そう思った。
気付けば、この男と会話をする理由を探していた。
ノルヴェルトは慌てて口をつぐみ、その背中を追った。
「……さてと」
一度も振り返ることなく歩いていたダンが、足を止めた。
すぐさま反応したノルヴェルトは、巡らせていた思考を断ち切る。
振り返ったダンは、警戒する自分とは対照的に、普通だった。
「いい加減、そろそろ目的の部屋に向かおうと思うんだが……。その前に確認しておきたいこととかあるか?」
まるで、当然のように問いかける。
その態度にノルヴェルトは目を見張った。
その反応にダンは僅かに眉を開く。
苦笑すると、『許容範囲で対応する』と告げた。
待っていたとばかりに、胸の奥に押し込めていたものが揺れた。
ノルヴェルト自身が、それに一番驚いた。
ぐっと唇を噛んでそれを塞き止める。
数秒間じっとダンの目を睨んでから、慎重に口を開いた。
「……あのエルヴァーンはどうした」
最初の問いを受け、ダンは眉を上げると苦笑する。
「あー……あいつな。生きちゃいるが、今日はいない。あんたがまた毛嫌いして暴れたら面倒だしな」
「あの男を野放しにしておくな。危険だと言ったはずだ」
ぎっと噛み締めるように言うノルヴェルトに対し、ダンも表情を険しくする。
「俺もあんたにはっきり言ったはずだぜ。あんまり俺を煽るなよ」
怒鳴り声ではないが怒りのこもった語気の強い声で言う。
お互いに強い眼差しで見つめ合う。
だが、ダンの方が先に視線を外した。
このまま睨み合っても何も進まない――そう判断したように。
「なぁ、一つ聞いていいか。どうしてそんなにエルヴァーンを嫌うんだ?」
肩をすくめて、今度はダンの方が尋ねた。
ダンはパリスと別れた後、ノルヴェルトのことを調べに行った。
当然、まず最初にサンドリアの領事館に行ってみた。
今日の領事館は先日と打って変わり、静まり返って厳かな空気に満ちていた。
まるで身分の高い来客でもあるかのように、受付の者が不自然なほど声を抑えていた。
資料を閲覧させてはくれたが、受付の者からこちらに早くお引取りを願う気配をひしひしと感じた。
まぁ何であれダンには関係ないことだったので、そんな空気をものともせずにじっくりと資料を探った。
あっちはこれどころではないのだろうが、こっちもそれどころではない。
しかし、資料の中にノルヴェルトという者は存在しなかった。
そしてそれは他国の領事館の資料を見ても同じことであった。
そもそも半日で資料を探ってみようということ自体が無謀であったといえよう。
ここ数日の疲労の蓄積も祟り、イマイチの情報収集に終わってしまった。
パリスも同様に成果は得られなかったらしい。
戻りが遅かったのでどうしたのかと思ったが、それでも、限られた時間いっぱい走り回ってくれたことだけは分かった。
「わざわざ言うことでもないが、俺はあんたのことがさっぱり分からねぇ」
正直に今の気持ちを述べた。
見たところどう考えても小物とは思えない、このノルヴェルトという男。
まったくこの世に痕跡を残していない風に思える彼は、一体何者なのか。
ノルヴェルトは、すぐには答えなかった。
ほんの僅かに視線を落とし、何かを飲み込むように沈黙する。
「……貴様に……私のことが分かるはずがない……」
嘲笑、というにしてはどことなく悲しげな顔でノルヴェルトが答える。
「で、あいつには分かるってのか」
今の言葉に対して、鋭くダンが尋ねた。
じっとノルヴェルトの回答を待つ。
するとノルヴェルトは、何かを言いかけるように唇を開き、しかし言葉を飲み込んだ。
視線を落としたその表情には、怒りとも悲しみともつかない感情が浮かんでいた。
これ以上聞いても、今の彼から答えを引き出すことはできないだろう。
ダンは諦めたように溜め息をついた。
何か事情がある。
そう考える方に、ダンは賭けてみることにした。
「別れ際に俺が言った言葉、覚えてるな?」
唐突な確認に、ノルヴェルトは顔を上げる。
そして、短く頷いた。
ダンはそれを確認すると、すっとノルヴェルトの後方を指差した。
「そこだ」
ダンが指差したのは、今二人が通り過ぎた後方二つ目のレンタルハウスのドアだった。
* * *
部屋に入る時が一番緊張した。
何が待ち受けているのか分からない。
ここで何かが起きる可能性も十分にある。
しかし、足を踏み入れて最初に感じたのは、予想していたものとは違う空気だった。
張り詰めてはいる。
だが、それは自分を狙う鋭い敵意ではない。
むしろ――こちらを拒むような、静かな緊張だった。
慎重に数歩進んだところで、背後からダンの声がした。
「ドアを閉めるぞ」
そう告げてから、彼はゆっくりと扉を閉めた。
通された部屋の中には三人の娘達がいた。
道着を着た赤髪のミスラと、ローブ姿の魔道士らしきタルタルの二人が緊張した面持ちで身構えている。
その間に、トカゲの皮を加工して作られた鎧を身に着けたヒュームの娘が立っている。
そう、他でもないノルヴェルトのお目当ての相手だ。
ノルヴェルトは彼女の姿を見て、自分が初めて鎧を身に付けた時のことが脳裏を過ぎった。
見れば見るほど、彼女の姿には恩師達の面影があった。
言葉にならない感情が、胸の奥に沈んでいく。
前で繋いだ手を、緊張した面持ちでじっと見下ろしている彼女。
髪の色は母親と異なるが、髪を結い上げた時の首元がそっくりだと思った。
優しげな目元は父親譲り。
その奥には、母親と同じブルーの澄んだ瞳がある。
今、彼女が私を見つめたら、不意に昔のように笑って呼びかけてくれるだろうか?
最後の泣き叫ぶ姿しか記憶に焼きついていない。
でも、彼女が笑ったらきっと……。
様々な記憶と錯覚が入り混じる。
それでも警戒を解くことはなく、ただ彼女から目を逸らせなかった。
俯き加減であった彼女がゆっくりと顔を上げる。
そのブルーの瞳がノルヴェルトを真っ直ぐ見据えた。
幻ではない、夢でもない。
今、彼女の瞳に自分の姿が映っている。
「……二人で……話がしたい」
震えるほど小さな声だった。
彼女の姿に息を呑んだノルヴェルトは、絞り出すように言葉を発した。
リオとロエの肩が警戒するようにぴくりと動く。
「生憎それは無理だ」
すぐさま後ろに控えているダンがはっきりと答えを返した。
肩越しにノルヴェルトが振り返ると、彼は肩をすくめて『さすがにな』と付け加える。
ノルヴェルト自身も、もっともな返しだと納得してしまった。
だがやはり、こんな状況で彼女に話などできそうもない。
只でさえ、どのように話せばいいのか手探りだというのに。
ノルヴェルトが再びトミーへ視線を戻すと、彼女は前で繋いだ自分の手を見下ろして押し黙っていた。
知りたいこと、聞かせてほしいことがたくさんある。
なぜ、あのぬいぐるみの名前が今の貴女の名前なのか。
どうして冒険者の真似事をしている?
両親のことを……私のことを……。
「どうして」
――不意に、トミーの口から。
感情を抑えたような微かに震えた声が漏れた。
「どうしてあんなことを……したんですか」
ノルヴェルトの息が止まる。
長い間溜め込んできたものが、胸の内で荒れ狂う。
だが次の瞬間、気が付く。
彼女の眼差しに混ざる、ちくりとするもの。
今まで刃を交えてきた男達を思わせる、自分には馴染み深い視線。
「あの人達が、一体何をしたの」
ノルヴェルトは縋るような思いで慌てて口を開く。
――トミーというのは……
「どうして?」
貴女の母が、貴女に作ってあげた友達の名前です。
「……事情は分かりませんけど」
私は、偉大な人達と共に戦場を巡ったのです。
「人の命を、奪っていい理由なんかない……っ」
彼らはたくさんの人を救った。
「人一人には……その人だけじゃなくて」
マキューシオは、多くの人を愛してた。
「色んな人の願いが」
この世界を愛してた。
「今頃あの人達の家族は、悲しんで! 泣いてる!」
私はあの人達に、すべてを捧げても良いと。
「そういう人達の気持ちっ……考えられないんですか!?」
多くの仲間を失ったけれど…
「パリスさんが何したって言うの!?」
戦争を生き残った、セトと、貴女方親子が……
「どうして周りを傷付けてまで私に近付くの!?」
笑っていてくれさえすれば私は、他に何も。
「あなたなんか知らない! もう来ないで! 私はあなたなんて必要としてない!!」
一際大きく叫んで、トミーは大粒の涙を零しながら奥のキッチンへと走り去る。
「――おい、トミー!」
ダンが呼び止めるが、彼女は振り返らなかった。
慌てたようにロエとリオが顔を見合わせる。
二人はダンとノルヴェルトを警戒するように見ながら、トミーの後を追った。
ノルヴェルトはトミーを目で追うこともせず、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
ダンはすぐにでもトミーの元へ向かいたい衝動を抑え、目の前の男から視線を逸らさない。
腰の剣を意識する。
――まだ、終わっていない。
トミーがあそこまで感情を露わにするとは、正直予想していなかった。
怯えて拒絶する可能性は考えていた。
だが、あれほど強い怒りをぶつけるとは思っていなかった。
ノルヴェルトが逆上したらどうするんだと内心毒付く。
背中に冷たい汗が流れる。
ダンは静かに警戒を続けた。
――不意に、ノルヴェルトが動いた。
ゆっくりと踵を返してダンのいる方を振り返ると、彼は歩き出す。
ダンは一瞬、最悪の状況を想像する。
だが、ノルヴェルトの表情を見てそんな想像は掻き消えた。
彼は何かに救いを求めるような顔をしていた。
彼は何か用事を思い出したかのように、ダンの横を通り、ドアを開ける。
「お……おい」
ダンが呼びかけるが、まったく反応を示さずに出ていく。
ばたりとドアが閉められた。
* * *
真夜中のジュノ港。
飛空挺乗り場に人気はなく、夜の闇の中に波の音だけが響いていた。
通りから外れた石階段を下り、地下へ続く道を進む。
しばらく歩いた先に窓口があり、パスポートを提示して通過した先が乗り場だ。
海水の上を、飛空挺が静かに滑ってくる。
ノルヴェルトは、人気のない飛空挺乗り場の通路の片隅に座り込んでいた。
近くで海を見たいと思った。
ただ、それだけ。
だが、いざ波の近くまで来ると、言いようのない恐怖に襲われた。
結局彼は、波音だけが届く場所で、黒い外套に身を包んだまま壁にもたれていた。
そもそもノルヴェルトはパスポートを持っていない。
この先へ進んだところで、飛空挺に乗ることなどできないのだ。
マキューシオに。
スティユに。
会いたくて会いたくて会いたくて。
聞いて欲しいことがたくさんあって。
海に、彼らが――。
海に行けば彼らに会えるような気がして、ノルヴェルトはやって来たのだ。
だけれど波の音を耳にしただけで足が竦んでしまい、どうしようもなく。
『来ないで』と、また突き放されて深く傷付くのではと思い。
潮の香りのする真っ暗な通路の隅で、大鎌を抱きかかえるようにして座り込んで。
『来ないで』
『来ないで』
スティユの目が、ソレリの声が、何度も何度も斬り付けてくる。
『来ないで!』
彼女がソレリだと分かった。
それはとても喜ばしいことのはずだった。
なのにどうして、こんな風に。
分からないから話せなかったはずであるのに、分かったら尚のこと言えず。
彼女から与えられる衝撃が一層威力を増しただけで。
彼女は望んでいない、私のことを。
「一体……どうすれば良いんですか……」
マキューシオ。
スティユ。
ドルスス。
セト。
ワジジ。
フィルナード。
みんな。
会いたい。
みんなに、会いたい。
なぜ私は一人で、こんなところに……?
――ノルヴェルトが何度も皆のことを心の中で呼び続けていると。
足音と共に人の気配が、通りから乗り場に向かうこの通路へ下りる階段から感じられた。
暗闇に身を溶かしているノルヴェルトはハッと顔を上げると、階段へ目を見張った。
微かな金属音。
鎧を身に着けている。
一人ではない。
「しかし、近年領事館の者達も弛んできたものだな。監査の者は職務怠慢も甚だしい」
「まったくです。明朝、調査を行い然るべき処置を」
静寂の中じわりと響く男性の声。
「はは……まぁ良い。貴公には暇を取らせる。たまには家の者に顔を見せよ」
会話しながら階段を下りて窓口の方へと向かうのは、長身の二人の影。
鎧をまとった彼らは、上等な身なりをしていた。
街中に溢れている冒険者達とは少し雰囲気が違う。
「前方だけに備えれば良いなどと考えていると、背後を突かれ……」
唇に笑みを浮かべて話していた右側の男は、言いながらふと通路の片隅に目を留める。
ノルヴェルトの存在に気付く。
言葉を途切れさせた彼は、笑みを浮かべたままの顔でしばし見つめた。
ノルヴェルトも、極自然に現れた通行人である彼らに呆然と視線を向けて――。
目を見開いた。
眉目秀麗な凛々しい顔。
燃えるような赤い髪。
気品を纏った貫禄のある立ち姿。
彼が身につけている外套にはサンドリア王国の紋章。
ノルヴェルトには分かった。
――テュークロッス!!!
ノルヴェルトの凶暴な声が相手の名を叫んだ。
野獣の咆哮の如きその叫びが暗い通路に響く。
抱えていた大鎌を引っ掴んでノルヴェルトは猛然と飛び出した!
「なっ!?」
連れが即座にテュークロッスの前に出て身構える。
素早く腰に下げた剣を引き抜いたその男は、当時からのテュークロッスの側近であるジェラルディンであった。
「――ならん! 下がれ!!!」
テュークロッスの一喝が響く。
彼は自ら剣を抜くと、ジェラルディンを押し退けるように前へ出た。
振り下ろされた大鎌と、迎え撃つ剣が激突する。
凄まじい金属音が夜の通路を震わせた。
どちらかの刃が砕けてもおかしくないほどの衝突。
だが、二人は止まらない。
鎌を弾かれた瞬間、ノルヴェルトは間髪入れず刃を返す。
それに合わせ、テュークロッスも剣を繰り出した。
憎悪を宿した大鎌と、誇りを纏った剣。
二つの刃が、何度も激しくぶつかり合った。
「構うな!」
部下が判断しかねているのを視界の端に捉え、テュークロッスは声を張った。
激しくぶつかり合う二つの刃。
王より賜った剣。
それと渡り合う、漆黒の大鎌。
長い年月使い続けられているというのに、刃こぼれ一つない。
まるで、かつてこの鎌を振るった男の意志までもが、そこに残っているかのようだった。
しばし激しく剣を交えると、その状況に苛立ったノルヴェルトが一際大きく鎌を薙ぎ払った。
予想だにしなかった大胆なその行為にテュークロッスは即座に身を引く。
暗闇の中に彼の赤い髪が一つまみ散った。
次こそはと前に出るノルヴェルトに対し身を屈めて素早く剣を翻す。
懐に入れないと判断し、ノルヴェルトは瞬時に体を捻って剣を避け後ろに飛ぶ。
その際テュークロッスの剣がノルヴェルトの外套を微かに絡め取り、黒いそれがびいっと裂けた。
一旦距離を置き、ようやく止まる。
遠くに波音。
「……久しいな。立派な野良犬になったではないか」
僅かに息の上がったテュークロッスが、笑い声で言った。
髪を振り乱したまま荒々しく呼吸しているノルヴェルトは、じっと彼を睨み据えて再度飛び掛る機会を窺っている。
テュークロッスとノルヴェルトが相見えるのは、それこそ十七余年振りのことだ。
あの日、セトが幼いソレリを守り帰らぬ人となった。
あの雨の日以来である。
ノルヴェルトとは一回りも年の離れていないテュークロッスは、出会った当時はノルヴェルトと大差ない年若い青年であった。
時が経ち、今こうして対峙している二人は各々立派に成長した姿。
テュークロッスは地位を。
ノルヴェルトは、傷と罪を。
それぞれが別のものを背負い、
まったく違う道を歩んで――今、此処に。
「……ふん……あの男は達者でいるか? マキューシオは」
首を傾け顔の前に赤髪を揺らしつつ、テュークロッスが尋ねた。
「貴様がその名を口にするな」
ノルヴェルトが牙をむく。
「あやつらにも久しぶりに会ってみたいものだが……何処にいる?」
口調は落ち着いているが、興奮の眼差し。
ノルヴェルトは相手の何もかもを寄せ付けまいとするように叫んだ。
「黙れ!!!」
知るがいい、私の怒りを。
歯を食いしばり、ノルヴェルトは再び飛び掛かった。
互いの間合いが一瞬で詰まる。――テュークロッスの一閃を滑るようにかわす。
柄で胴に叩き込んだ一撃に、上等な鎧に守られたテュークロッスの足が浮く。
一瞬顔をしかめるが、崩れながらも剣は刃を受け止める。
「貴様は……私と共に地獄へ堕ちろ…!!」
鍔迫り合いのまま、ノルヴェルトは唸った。
テュークロッスは圧力に対抗しつつ食い縛っている口元に笑みを浮かべた。
何がおかしいと苛立ちノルヴェルトが更に力を込めた。
どうやら力はノルヴェルトの方が上。
徐々に押され気味になるテュークロッスだったが、彼は笑い声を漏らした。
銀髪の隙間から睨みつけてくるノルヴェルトの目を見つめて言った。
「…は……野良犬は愚かだ。自分の宝を上手く隠せていると思い込んでいる」
暗い通路の中で、彼の赤い髪が微かな風にさわりと揺れた。
「良いのか? 大事なものは持ち歩いておかねば、留守に奪われるぞ?」
不敵な笑みと言葉の意味が、ノルヴェルトには掴めなかった。
斬ることだけで満たされていた思考の奥で、違和感が疼く。
――それは、どういう意味だ?
一瞬の間を置いて、鋭く細められていたノルヴェルトの目が見開かれる。
テュークロッスは高らかに笑った。
ノルヴェルトが慌てたようにテュークロッスの剣を跳ね除ける。
大きく跳ねて後退し、笑う騎士を見つめて愕然とした。
「ーー……レリ…ッ」
血相を変え、ノルヴェルトは外套を翻した。
振り返ることなく、通りへ続く階段を駆け上がる。
すかさずジェラルディンが追おうと踏み出す。
テュークロッスが手でそれを制した。
「無駄だ、間に合わぬ!」
通りへと飛び出していくノルヴェルトの後ろ姿に叫ぶテュークロッス。
ノルヴェルトは牙を剥いていた先程とはまったく様子を変え、振り返りもせずにそのまま通りへと飛び出していった。
闇夜の亡霊のようなノルヴェルトが去ったのを見送り、ジェラルディンは剣を片手に握ったまま主を振り返る。
彼はテュークロッスが言った言葉の意味をすぐに理解した。
その表情は勝ち誇っていた。
「……将軍、既に使者を送っておられたのですか?」
驚きの中に得意なものが混じった顔で問う。
ところが、テュークロッスはノルヴェルトが消えた階段を見据えて厳しい表情をしていた。
“野良犬を追え”
リンクパールに一声投げる。
野良犬狩りに携わる数人の側近のみが所持している内々のものだ。
主の様子にジェラルディンが眉を寄せていると、テュークロッスが大きく息をつく。
「ふん、敵なら奴が自分で見つけるだろう」
勝利を確信したように唇に笑みを浮かべ、乱れた赤い髪をかき上げる。
地位が上がった今、テュークロッスは自由に動けない。
それでも追い続けてきた。
ノルヴェルトの先にいる、真に狩るべき男を。
今宵、まさかこんなところでノルヴェルトと再会するとは思っていなかった。
これ以上ない好機だ。
だが、ここで斬っては意味がない。
街中で騒ぎを起こすのも得策ではなく、何より野良犬一匹を始末したところで終わりではない。
即座に思考を巡らせ、テュークロッスは鎌を掛けた。
もしやマキューシオらは既にこの世にいないのでは――
そう考えたこともあった。
だが、あの煽りに反応し、迷わず駆け出したという事実が示している。
ノルヴェルトには、まだ守るものがある。
それは、長年追い続けてきた課題に終止符を打つための、願ってもない手掛かりであった。
「導くが良い。貴様の宝のもとへ」
そう呟くと口の中で笑いながら踵を返す。
主の思考の速さにジェラルディンは息を呑む。
表情を引き締め、ノルヴェルトが去った階段を見つめた。
「貴公は私と共に国に戻れ。 何事もなかったかのようにな」
追うべきか否か、判断を迷うジェラルディンに向けての命令だった。
任を終えて帰国した将の背に、側近がいない――それ自体が不審を招く。
ジェラルディンはそれを悟り、追うべき背を胸の内で切り捨てた。
* * *
相手が相手だっただけに、無理もないと言えばそれまでだった。
折角の面会の機会を見事に台無しにしたトミーを叱るわけにもいかず、とりあえずは興奮状態のトミーを引きずって彼女のレンタルハウスに移動した。
あの男を見て、何か心当たりはないのか。
当然そういった話をしたいわけだが、トミーは仲間達からの言葉もすべて拒否し『一人にして』と一辺倒。
落ち着くまで待った方が良さそうだと判断して、仲間達は彼女のレンタルハウスを後にした。
四人が向かったのは、面会を行ったダンのレンタルハウス。
「あんな状況じゃ、相手はまだ完全に未消化だ。……きっとまた現れるな」
ドア付近に立って厳しい目付きをするダン。
「面倒なことになっちゃった……かもねぇ」
言いながら、ベッドに腰掛けて天井を仰ぐパリス。
つい先程この部屋で合流し、面会時の状況を聞いたばかりである。
パリスはトミーが相手に対して取った行動を聞いた際、思わず苦笑を浮かべていた。
彼女がそんな態度を取るとは、パリスもやはり意外でしょうがない。
状況を聞き終わると、『良かったね……無事で』と乾いた声で呟いた。
「絶対ヤバイわよ、あの男! あの外套とか……色々染み込んでんのよ! すんごく重そうだったじゃない!」
リオは壁に寄りかかり、頭を抱えるように赤い髪を掬い上げた。
彼女はノルヴェルトの姿に相当圧倒されたようだ。今も視線にまったく落ち着きが無い。
その隣で、ロエは胸の前できゅっと手を握ったまま押し黙っていた。
重たい沈黙が落ちる。
「…………このまま……」
不意に、深刻な顔で思考を巡らせていたダンが口を開く。
「このままじゃ後々、また面倒なことになるのは目に見えてる。 あの時間であっちの用件が解決したとは思えないからな」
静かな声で淡々と続ける。
「きっと引き返してくるだろう。だからこの部屋はまだ解約しない。もしノルヴェルトが戻ってきた場合、俺が対応する」
三人がほぼ同時に口を開く。
「三人はあいつを連れて、ジュノを離れてくれ」
ダンははっきりと言い切った。
「そうそう、それが良いわよ!!」
三人が同時にダンに対して物申したが、一番声が大きかったのはリオのこの声だった。
パリスとロエは呆気に取られたようにリオへ視線を向ける。
「あんたやっぱり頭良いわね! あたしそれに賛成! もう嫌よ、こんな危ない状況! いつまでもあいつの手が及ぶここにいる意味が分からないわ!」
うんざりした口調でそう言いながらリオは立ち上がり、ドアへ向かう。
「っていうか、この部屋にいるのも嫌なのよ! あいつが来たらヤバイじゃない。あたしベティのところにいるから、詳しい段取りはあんた達決めて」
ペラペラと一気に言葉を並べてドアを開ける。
ダンは肩越しに振り返り、落ち着いた声で促す。
「おい、警戒しろよ」
彼女のずいぶんな物言いに対し、特に感情は抱いていないようだ。
リオはその言葉にどきりとしながらも――
「分かってるわよっ」
言ってドアを閉める。
ダンは腕組みして軽く溜め息をついた。
その、すべてに納得しているようなダンの様子を見て、残った二人が出遅れつつも声を上げる。
「ちょっと待ってよダン~!」
「危険です!」
「やめよう、もうやめようよ!」
パリスは引きつった笑みを浮かべてベッドから腰を上げた。
「僕らだけで何とかできる相手じゃないよ、要請しよう?」
すぐに笑みを濁し、パリスは険しい表情でダンに訴えかけた。
「面会した時のトミーちゃんの様子を間近で見たんでしょ? もういいじゃない、考え過ぎだよ。あの人はただの殺人鬼だよ」
『どうしてそんなにこだわるの』と困り果てたような声でダンを問い詰める。
そんなパリスの言葉を聞き、ダンは視線を落として考えている顔をした。
パリスが眉を寄せる。
だが、彼の返答は案外すぐに返ってきた。
「……見たからこそ、知りたいんだよ」
喉の奥から押し出された。
トミーがあんなに感情的な言葉を人にぶつけるとは。
それが、あの光景が、ダンには引っかかっていた。
恐らくこれはダンだからこそ感じている疑問なのだろう。
トミーが正直にものを言えて、甘えることができて、感情をぶつけることができる唯一の存在であった彼だからこそ。
「俺は……俺が……あのノルヴェルトと、もう一度話がしたいんだ」
揺るがない決意を感じる声。
「だから悪い、俺は残る。みんなは早くジュノを出てくれ」
「ダンさんが残るなら、私も残ります」
不意に、震えた声でロエが進言した。
二人のえっという顔が彼女に向く。
ダンはすぐに首を横に振った。
「いや……危険ですから、ロエさんはあいつと」
「邪魔ですか? 私、あ、足手まといですか?」
「いえ…」
「もうやめて下さい!」
戸惑うダンの前で、ロエが悲鳴じみた声でいきなり叫んだ。
驚いたパリスは思わず肩を窄め、ダンは言葉を失って呆然と彼女を見つめる。
小さなタルタルの魔道士は震えていた。
「最近のダンさんは、危険を冒し過ぎです! どうして残るなんて? 嫌ですそんなのっ。どうしてそんなに危険なことばかり……」
一生懸命に言うロエの声はみるみる内に涙声になっていく。
心底辛そうな表情の中に涙が滲む。
ダンは思わず眉をしかめた。
「…………ぇっ……あぁ~…」
そこでふと、変な声が聞こえて視線を上げる。
パリスがロエを見つめ、何かに納得したような顔をしてそわそわと腕を擦っていた。
そのまま何となく視線を泳がせてふらりとドアに向かう。
「おい、何処へ行く」
彼にダンは声を刺す。
パリスはあくまでも視線を泳がせたまま。
「ん~?ん~」
曖昧な返事をしてドアノブを掴んだ。
「僕ぁちょっと、そのへん偵察してくるよ」
苦笑を浮かべているものの、思考を巡らせているような目をしてパリスは退室する。
あまりにも不自然な彼の様子にダンは一抹の不安を感じたが……。
「トミーさんを守りたいのなら、残るなんて言わないで一緒にジュノを出たらいいじゃないですかっ」
ダンは今、目の前にいる人物への対応を迫られている。
それどころではなかった。
「ですから、それじゃあ何の解決にも」
「解決なんて…っ。それなら、どうして私も残っちゃいけないんですか?」
ロエは何に対して怒っているのだろうか。
怒っているならなぜ泣くのか。
そもそも何が気に食わないのか。
ダンには訳が分からない。
又、今はこんな議論をしている場合ではないという思いから徐々に苛立ってきた。
「……最近のロエさんは変だ……」
搾り出したような声でぼそりと呟くと、ロエが酷く衝撃を受けたように息を呑んだ。
さっと彼女の顔に恐怖の念が広がったのをダンは見て取る。
だが、彼女が何に恐怖しているのか分からない。
彼女の考えていることが。
そこでふと、トミーから聞いた話を思い出す。
溜め息交じりに言った。
「俺はロエさんを毛嫌いしてるつもりはなかった。言わせてもらえば、ロエさんがそんな風に思うのは……ロエさんの方が俺を」
「ち、違います! 違うんです!」
「何が違うんですか」
「違うんですダンさん!!」
首を横に振って思わずダンの鎧へ手を掛ける。
ロエは必死だった。
ダンの声がどこか冷たい。
見下ろす眼差しも疲れていて。
彼から与えられる情報が、どれもこれも悪い方向に向かっていることにロエは震えた。
「……怖いんです……私……ダンさんにもしものことがあったらって…」
ぽたりと涙を床に零し、ロエが顔を上げる。
見上げたのは、腰に当てられているダンの手。
下ろしてくれれば掴めるのに。
「心配で心配で、私……お願いですから傍にいさせてください。傍にいたいんです……」
届かない手からダンの顔へと視線を戻す。
彼は未だに困惑した顔をしていた。
それが、余計に悲しくて――ロエは震えを抑えるように必死にしがみ付く。
「ダンさんはトミーさんのことで頭がいっぱいかもしれませんけど」
『私は』と、ロエが続けたところで――
リンクパールから聞こえた。
“ちょっ来てマズイ――”
非常に緊迫したパリスの声に続きはなく、そのまま途切れた。
* * *
真夜中のジュノの冒険者居住区を駆け抜ける。
薄暗い通路に並ぶレンタルハウス。誰も歩いていない。
ノルヴェルトは焦燥感に身を焦がしながら、息を弾ませて左右の通路を見比べる。
急がなければまた失う。急がなければ。
階を上って通路に出ると、人気の無い通路の遥か前方に動く人影を捕らえた。
目を凝らす。――先程面会の場にいたあの赤髪のミスラだ。
足を止め、彼女は目の前のレンタルハウスに入って行く。
ノックもしなかったので、あそこは彼女の部屋なのではないか。
なんていう疑問を抱く余裕すら無く、ノルヴェルトは無心でその部屋へと向かった。
どばんと乱暴にドアを開け放って中に飛び込んだ。
押し入ると目に飛び込んできたのは、入室を確認したあの赤髪のミスラと――捜し人。
ベッド脇にしゃがみ込んでいるトミーの腕をリオが掴み上げている。
早くジュノを出る支度をするようにとリオが急かしていた。
その光景を目にした瞬間、ノルヴェルトの中で過去が悲鳴を上げた。
突然現れたエルヴァーンに仰天し凍り付く二人。
ノルヴェルトは荒い息のまま、二人へ向かって踏み出した。
重々しい足音を立て大股で二人に迫ると、外套の中から突き出した手でリオの首を掴み上げる。
「――やめてぇ!!」
トミーが叫んだ。
細い首を掴まれて軽々と持ち上げられるリオ。
突然のことに目を白黒させている。
首を掴むノルヴェルトの手を掴んでじたばたしている。
完全に呼吸を封じられて涙目になり、開いた口からは声になっていない唸りが漏れた。
「ダメェ!! やめて放して!!!!」
血相を変えたトミーが必死に叫びながらノルヴェルトの腕に飛びつく。
『放せぇ!』と叫びながら彼の肩をぼかりと殴った。
掴み上げたリオを凶暴な目付きで睨むノルヴェルトがぴくりと眉を動かす。
振りかぶって、掴んだリオを床に叩き付けた。
どかっと受身も取れず思い切り床に叩き付けられたリオの口から掠れた悲鳴が吐き出される。
「リオさ…っ!」
その様子にトミーが叫んですぐに彼女のもとに屈もうとする。
しかしノルヴェルトが彼女の腕を掴んでそれを引き止めた。
「放してっ!!!」
腕を掴む手を引き剥がそうするトミー。
抵抗を物ともせず、ノルヴェルトはぐいと引寄せた。
「ここは危険だ!すぐにここを離れなければ……!!」
こちらも必死のノルヴェルトは、トミーの目を見て訴える。
トミーは彼の顔を見ようとはせずに、掴んでいる手と背後のリオを見比べている。
床の上で激痛に身を縮め、リオは激しく咳き込んでいた。
その姿にトミーの瞳が揺れる。
ノルヴェルトへの抵抗を強めた。
ノルヴェルトは殺すまでもないと判断した。
とにかくここを離れるのが先決だ。
掴んだ自分の手をもぎ取ろうとしているトミーの手首を、もう片方の手で掴んで懸命に言う。
「お願いだ、言うことを聞いてくれ!!ーーソレリッ!」
「やぁ!放してぇ!ダン……ッ…ダンーーーーー!!」
ダン。
知っている、あの青年だ。
なぜその名を呼ぶ?
私の名は――
そのトミーの叫びを聞いた瞬間に、ノルヴェルトの中で何かが大きくひび割れた。
カッと頭に血が上り、トミーの抵抗を無視して力ずくで彼女の腕を引いた。
「早く!!」
トミーを引きずるようにしてドアへと強引に歩き出すと、悶えていたリオがしゃがれた声で叫ぶ。
「……誰でも…いから……っ!!」
直後。
半開きのままになっていたドアを跳ね除けて何者かが部屋に飛び込んできた。
ノルヴェルトは振り返る。
同時に背の大鎌を手に掴み、その黒い刃を翻した。
ドアを跳ね除けて飛び入ってきたのは、パリスだった。
「――嘘」
パリスは呟いて腰の剣に手を伸ばす。
だが、ノルヴェルトがトミーを引っ掴んでいるのを見て一瞬躊躇した。
直後――彼の正面が胸から腹にかけて斜めにばっさりと裂けた。
装備の布部分が派手に裂けて細かい破片が飛び散り、彼の体が跳ね飛ばされる。
ドアの横の壁に背中から叩きつけられると、一拍置いてばっと血が噴き出した。
ばたばたと床に血を零したパリスは、そのまま脱力して無抵抗に横へ倒れる。
「……ぁ…」
その光景を目の当たりにしたトミーの顔が蒼白になった。
小さく声を漏らすと力を失い、がくりと膝を折る。
倒れ込む彼女の体を支え、ノルヴェルトは鎌を背に収めるとひしと抱き締めた。
「貴女は私が守る」
呟いて、黒ずんだ外套の中にトミーを抱きかかえると外へと駆け出していく。
トミーを攫っていったノルヴェルトを呆然と見送り、リオは思い出したように再び激しく咳き込んだ。
そしてひゅーひゅーと苦しげに息をしながら、のろのろと四つん這いになる。
床に倒れたまま動かないパリスのもとへ。
パリスの姿を間近で見るのが恐ろしかったが、リオは彼の体に手をかけた。
「……ちょっ……お…!」
床には見る見る内に赤い血溜まりが広がっていく。
床に手を付くとぴちゃりと血がついた。
意識を戻すとか、呼吸の確認だとか、そんなことは混乱した頭には浮かぶはずもなく。
ただ必死に、拍動に合わせて血を沸かせている傷口を両手で押さえつけた。
そして誰もいない室内を見回した後、がちがちと震える口でドアの外に向かって叫んだ。
「誰か!…ねぇ……死ぬぅぅぅぅぅぅ!!!」
あとがき
第十二話、『再会』でした。確実に話題性No.1は、好い人の受難でしょうか。
あっちこっちで色々な人の気持ちが溢れ出た回でした。
――こんな『再会』、誰も望んでいなかった。
誰も。